TRIO KT-7700
1977年 トリオ製FM専用チューナー 当時の価格 78,000円
※ 記事の内容は2009年時点のものです。
7連バリコンのFM専用チューナー
♪FMの音質は
友人のKENWOOD製 L-02TというFMチューナーを借りて聴いたとき、FMの音質も悪くないということがよく分かりました。
ジャズや邦楽のライブを聴くと、音の一つ一つがきちんと聞こえ、派手な音でも変に繊細な音でもなく、レコードやオープンテープとも違う、きわめて自然な音だったのです。
FM放送の実力は、現代においても侮れるものではありません。L-02Tはとても高級なチューナーなのですが、KT-9900やKT-9700でも同じような音が出ないものなのか、試してみたくなりました。
♪7連バリコン
KT-9900、KT-9700は、製造から30年たった今でもなかなか高価なもので、これに数万円の投資をするのは簡単ではありません。
KT-7700は、その兄弟分なのですが、中古の価格は手が届きますし、L-02Tが7連バリコンなので、やはり7連が欲しいと思っていました。
昭和50年代前半まではバリコンチューナーが普通でした。その後すぐにPLLシンセの時代になるのです。
バリコンチューナーは周波数が直読できないという問題があるのですが、FM放送など、ローカル地方のウチでは地域に4局程度しかありませんから、瞬時に切り替えるということはできないものの、普通に使用するには利便性よりも音の良さの方が勝るのです。
♪2台目もTRIO
高価なチューナーはメーカー各社から発売されていました。当時のヤマハのT-2などは、今でも中古市場によく出てきます。
私にとって1台目のチューナーだったKT-8300はあまり好きな音ではなかったのですが、しかし、L-02Tの音を聞いた私は、やはり2台目もTRIOのチューナーを選択することにしました。それがKT-7700でした。
KT-8300の発売はKT-7700の後ですが、当時のカタログには2台とも載っているので、時期としてはほとんど同じです。
KT-8300、KT-9700、KT-9900は、パルスカウント方式という回路を採用しています。KT-7700は、パルスカウント方式ではない最後の機種で、純粋なアナログチューナーと言っていいでしょう。
KT-7700 とてもまじめなイメージ
不思議なもので、レコードを聴くときでもチューナーのスイッチは入れておきます。ほんのりと点るノスタルジックなパネル照明がとてもいい雰囲気だからです。
完全に自己満足の領域ですが、これでいいのです。若いときにはとても買える金額ではなかったのですから。
♪メーター
左から、シグナルメーターとチューニングメーターが並んでいます。CATVのFM電波はほぼフルスケールを示しています。
チューニングメーターはセンターメーターのことで、中央付近にあれば同調していますが、左右にずれるほど同調がずれます。
つまみの字体がなかなか渋いですね。昔のマランツのようです。
右側にあるのがデビエーションメーターとマルチパスメーターのコンビネーションメーターです。デビエーションメーターは変調度をリアルタイムで示しています。これが必要なのかどうかは分かりません。
背面の様子です
ブロックダイヤグラムが表示されています
7連バリコンの位置がよくわかります
30年前のものにしてはRCA端子はとてもきれいでした
♪やはり本物の音
古い機械は長い間使われていないことが多いので、家にいるときはできるだけスイッチを入れて、古い部品を少しずつ目覚めさせてやります。
1カ月もたったころからL-02Tのような音が出てきました。その音を文章で表現することは難しいのですが、とても自然でつい引き込まれてしまう音なのです。KT-7700は本物の音を持っています。
そこにあるだけでサマになるのがチューナーかもしれません
2022年現在もKT-7700は健在です。
取扱説明書より定格の抜粋です。
受信周波数 | 76MHz~90MHz |
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アンテナインピーダンス | 300Ω平衡および75Ω不平衡 |
感度(IHF規格) | 1.5μV(300Ω)0.8μV(75Ω) |
SN比 | 78dB(MONO)75dB(STEREO) |
イメージ比 | 120dB |
選択度(IHF規格) | wide 400kHz 35dB |
チャンネルセパレーション | wide 50Hz~10kHz 45dB |
周波数特性 | 50Hz~10kHz ±0.2dB |
出力・インピーダンス | FM可変 0~1.5V 1.2kΩ FM固定 0.75V 1.0kΩ |
寸法 | 幅430mm×高さ149mm×奥行き367mm |
重量 | 8.5kg |
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